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金縛り

今はまったくないのですが、20代半ばのある一時期、頻繁に金縛りにかかっていました。

精神的にも体力的にも追い込まれていた時期だったので、極度の疲労が原因だというのは身をもって理解できていましたが、それでも初めて金縛りにあった時はかなりの恐怖でした。

初めての金縛り。

その日、私は夢を見ていました。

今でもハッキリと覚えてる、やたらリアルな夢。

古びたお寺の本堂に友達数人で集まり、私たちは怪しく灯る何本かのろうそくを囲むように輪になって座っていました。

そこでやっていたのは、ひとりづつ怪談を披露し、話が終わるとろうそくの火を一本づつ消していく、いわゆる百物語。

なんでこんなことしているんだろう!?と思いながら、当時、実際に私が片思いしていた女性の話に耳を傾けていました。

彼女は長い髪が床に触れそうなほど背中を丸め、ボソボソと話しを進めていました。

その表情は髪に隠れて伺い知ることができません。

「…私を殺したのは…」

か細い声で一言喋った後、数秒、黙りこんだ彼女。

皆、ゴクリと息をのみます。

「え?殺した?何の話?」と私が思った瞬間、

「おまえだーーーーー!!!!!」

と髪を振り上げ私に向かって叫ぶその顔は、皮が剥がれ血だらけの見るも無残な姿でした。

「ギャーーーーー!!!!!」

夢の中で私が叫ぶと同時、心臓が止まるほどの驚きで目を覚ましました。

が、目を覚ましたハズなのに、目が開きません。

というか、全身ピーーーンと固まった状態で、指一本まったく動かない。

やべぇ!!!と焦って起き上がろうとしますが、おりゃーーーと力を入れた後、アホみたいな力で上から体全体を押さえつけられます。

そして何かキナ臭い匂いがプ~ンと漂ってきたかと思うと、耳のすぐ傍で「ハァ…ハァ…」と荒い呼吸が聞こえてきました。

「あ~~もう何かいる!!誰か助けて!!!!」とパニックになりかけましたが、

よくよく耳を澄ませてみると、化け物のような呼吸の音は、何か変なふうに聞こえているけど「あれ?これもしかして自分の呼吸音じゃね?」

口と耳を両手で覆って、息の音をダイレクトに耳で聞く感じというか。

上から押さえつけられるのも、誰かに腕を上から押さえつけられながら無理やり上げようとして、腕を離してもらった瞬間にスーッと上にあがるような反動みたいなもの?

金縛りは脳が起きているのに身体がまだ寝ている状態だと聞いたことがある。

それならばと、強張っていた全身の緊張を緩め、身体の感覚を意識に合わせるような感じで集中し、ゆっくりとまぶたを上げてみると、

開いた!

そして普通に起き上がることができました。

なーーーんだ、こういうことか。

霊だと思っていたのは全部、自分の錯覚じゃないか。

それからというもの、何度か金縛りにあいましたが、「またか」という感じで落ち着いて対処していました。

ところがある日、

寝ている私の胸元に、何かがストンと飛び乗るのを感じました。

この重さ、どこかで感じたことがある…

少し前まで、私がお付き合いしていた女性の猫さんだ…

え?なぜ?と思った瞬間、

ビシー――っと金縛りになりました。

そして、猫さんが、

「ニャーーーーー!!!!!」

ものすごい勢いで鳴き叫び始めました。

愛するご主人のため、生霊となって現れたのでしょうか。

意識を集中させてもまったく金縛りが解けません。

おそらく時間にして30分。

叫んでいた猫さんも、終盤は説教口調になり、最後は「だからワタシは最初からアンタのこと信用してなかったのよ」みたいなことを言ってスッと消えていかれました。

すっごい疲れた。

そして凹まされた。

それ以来、女性を悲しませるようなことはしないようにと固く心に誓いました。

そしてそれ以来、なぜか金縛りにかからなくなりました。

暑い夜に、色々な意味で寒くなる体験談を披露してみました。

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