「小学生向け「為替」の説明 ①日本のお金、外国のお金」からの続き
増えているのに「安」、減っているのに「高」?
前のページで「為替レートは常に変化する」すると言いました。
現在の為替レートが「1ドル=100円」だったとしても、
来月には「1ドル=90円」になっているかもしれないし、
「1ドル=110円」になっているかもしれません。

この為替レートの変化を「円が高くなった=円高(えんだか)」、「円が安くなった=円安(えんやす)」と言います。
それでは「1ドル=100円」が「90円」になった場合と「110円」になった場合、どちらの変化を円高、円安と呼ぶのでしょうか。
正解は、
「1ドル=100円」から「1ドル=90円」への変化を「円高になった」、
「1ドル=100円」から「1ドル=110円」への変化を「円安になった」と表現します。
100円から90円では、金額で言うと少なくなっているのだから、安くなっているように見えちゃいます?
「1ドル=100円」のときをこちらの図の状態だとしましょう。

「$」は「ドル」、「¥」は「円」を表し、コインの「重さ」=「価値」と考えます。
現在、「1ドル」と「100円」の価値は同じなので、天秤にそれぞれを乗せれば当然つり合います。
では、「1ドル=90円」とはどのような状態なのか。
やはりこちらも「1ドル」と「90円」が同じ価値であることを表します。
同じ図で表すとこんな感じ。

「100円」から「90円」と数字が小さくなるので、「¥」のコインの枚数も少なくなります。
「1ドル=100円」のときと比べると、「¥」は少ない枚数で「$」(ドル)とつり合うことができます。
では、1枚あたりの「¥」の価値が高い(重い)のはどちらでしょうか。
上の図は3枚乗せなければ「1ドル」とつり合うことができなかったのに対し、
下の図では2枚で「1ドル」とつり合っています。
「1ドル=90円」というのは、「1ドル=100円」と比べてより少ない額で「1ドル」と同じ価値があるということなので、「90円」の方が「円」の価値が高いということになります。
「100円」から「90円」への変化を「円(の価値)が高くなる」、=「円高になる」と言います。
金額が少なくなっているように見えますが、「1ドル」のモノを買うのに「100円」必要だったのが、円の価値があがったことで、より少ない「90円」で買えるようになった、ということになります。
同じように「1ドル=110円」の状態を図にすると、こんな感じ。

(コインの枚数がオーバーになってますが、110円分ということで…)
これだけ「¥」を乗せなければ「1ドル」とつり合えないということは…
1枚あたりの「¥」の価値は上がってる(重くなっている)でしょうか、それとも下がってる(軽くなっている)でしょうか。
「1ドル=100円」と比べてよりたくさんの「¥」を用意しないといけないということは、円の価値はそう、下がって(軽くなって)ますよね。
「100円」から「110円」への変化は「円(の価値)が安くなる」、=「円安になる」と言います。
今まで「1ドル」のモノを買うのに「100円」で良かったのに、今度からは「110円」払わないといけなくなった、つまり円の価値が低くなった、ということになります。
円高になって良いこと・悪いこと
「円高になる」「円安になる」というのは、具体的に何が変わるのでしょうか。
私たちの生活に影響がある部分として、輸出と輸入について考えてみます。
別の国の相手とモノやサービスを売ったり買ったりする取引を「貿易」と言います。
そして、海外の相手に対してモノやサービスを売ることを「輸出」、買うことを「輸入」と言います。

円高になったときの影響
「1ドル=100円」から「1ドル=90円」へと「円高」になったときのことを考えてみます。
アメリカから1個1ドルのリンゴをひとつ輸入する(買う)とします。
先月は「1ドル=100円」だったので、ひとつ輸入するのに100円かかりました。
今月は「1ドル=90円」になったので、ひとつ輸入するのに90円で済みました。
どちらがお得ですか?
「1ドル=90円」の方が10円お得です。

10万個とか一度にたくさんのリンゴを輸入していれば、100万円お得になるということです。
安く輸入することができれば、日本国内のスーパーにならぶアメリカ産のリンゴは、先月よりも安く売ることができます。
アメリカ産のリンゴが飛びぬけて安いと、日本産のリンゴも価格を下げざるを得ない場合が出てくるかもしれません。
円高になると、私たちの身の回りのモノの価格が下がる可能性が高まります。
では、反対に輸出する(売る)場合はどんな影響が出るでしょうか。
あなたが作った自家製ジュースをアメリカのお客さんが「1本1ドル」の契約で買ってくれているとします。
先月は「1ドル=100円」だったので、1本売れば(輸出すれば)100円の儲けでした。
しかし今月は「1ドル=90円」になったので、1本売って90円の儲けになります。
先月に比べて1本10円のマイナスになります。
外国に対してモノを売っている人は、円高になると儲けが少なくなってしまいます。
円高になるというのは「円の価値が高くなる」ということなので、今までよりも安く買うことができる、つまり「買う力」が強くなります。
それと同時に、売って得られる利益が少なくなるということなので、「売る力」が弱くなります。
円安になったときの影響
「1ドル=100円」から「1ドル=110円」へと「円安」になると、どのような影響があるでしょうか。
先ほどと同じ例で言うと、
先月1ドル=100円で買って(輸入して)いたリンゴが、
今月は110円を出さなければ買えないということです。

輸入する額が先月よりも上がってしまうので、スーパーにならぶアメリカ産リンゴも値上がりすることになります。
反対にアメリカへ輸出して(売って)いたあなたの自家製ジュースは、
先月は1本100円だったのが、今月は1本110円で売れるということになります。
円安になるというのは「円の価値が低くなる」ということなので、今まで以上の金額を支払わなければならなず(「買う力」が弱くなる)、身の回りのモノの価格が上がる可能性が高くなります。
同時に、外国に対して売って得られる利益が大きくなる、つまり「売る力」が強くなります。
どちらがいいの?
国全体で見る輸出と輸入を、ひとつの家計に置き換えてみます。

あなたのお父さんやお母さんが一生懸命働いて得た、家に入るお金が「収入」。
貿易で言うと、外国に対してモノやサービスを売って利益をあげる「輸出」にあたります。
毎日のご飯や生活に必要なものを買うために、家から出ていくお金が「支出」。
貿易で言うと、外国からモノやサービスを買う「輸入」にあたります。
「円高」になると外国のモノが買いやすくなり、家計でいえば「支出」の負担が少なくなると言えます。
同時に外国に売って得られる利益が小さくなるので、これは家計でいうと「収入」が減るということになります。
一方、「円安」になると外国に売って得られる利益が大きくなるので、「収入」が増えることになります。
ただ、こちらも同時に外国のモノが買いづらくなるということなので、「支出」の負担が大きくなると言えます。
「円高」と「円安」、どちらがいいのでしょうか?
「円高」は外国にモノを売って得られる「収入」が減ってしまいます。
一方で、日本は資源の乏しい国であり、食料や燃料の多くを輸入に頼っています。
日本は外国からたくさんのモノを買っている国なのです。
「円高」になると、それらを安く買うことができるため、私たちの身の回りのモノの価格も安くなる可能性があります。
ただ、「入ってくるお金=収入」が減っているのに「使うお金=支出」ばかりが増えるのは、家計に置き換えてみるとあまり好ましい状況とは言えません。
「円安」はどうでしょうか。
日本は長らく自動車などの輸出産業が日本経済を支えてきました。
1980年代前半までは円安の状況が続いたので、世界における日本製品の価格競争力(他の国に比べて安く売れること)が高まり、日本は世界的にもまれに見る経済発展を遂げました。
輸出産業が経済の中心を担ってきた日本では、一般的に「円高」よりも「円安」の方が好ましいと言われてきました。
ただ近年では、日本製品の国際的な競争力の低下が問題になっていて、モノの価格が上がっているのに「収入」が上がらないということも考えられます。
また「円安」は「円の価値が下がっている」ということで、海外から見ると日本のモノが安く買える状況ということになります。
海外から来る旅行者が「どれもこれも安いね!WOW!」と言って、日本でたくさんお土産を買ってくれるのはありがたいことですが、
海外の人や会社が、日本の土地や会社を買い漁る状況も考えられます。
日本の伝統や文化を理解してくれていれば良いのですが、儲けだけを考えて突拍子もないことを始めたら、不安になったり悲しくなるようなことがないとも言えません。
「円高」も「円安」もメリット(良い面)とデメリット(悪い面)があり、立場や状況で変わってくると言えます。
次は「為替レートはなぜ変化するのか」(只今工事中m(_ _)m)について説明したいと思います。



COMMENT
めちゃくちゃべんきょうになった
恐縮です…
結局、子供たちにも理解してもらえなくて、やっぱり難しいなと痛感してました。
自学ノートの参考になりました!
ありがとうございます♪
仕組みが少し難しかったけど、
このサイトのおかげで理解することができました!