小学生に「為替」の説明を試みた 「円高とか円安」って何?
為替レートのニュースを見ていた子供たちから何の気なしに「円高って何?」と質問されました。
私自身、この類の言葉に苦手意識を持っているのですが、自分の理解を深める意味もこめて小さな子供にもわかる説明ができるように基本から調べてみました。
日本のお金、外国のお金
自動販売機で缶ジュースを買うと、大体120円。
本を買えば千円、自転車なら1万円と、身近で何かを買うとき、その商品の金額にはほとんど全てに「円」という単位がついています。
この「円」というのが日本で使えるお金のこと。
記号にすると「¥」。
この日本のお金「円」が使えるのは日本だけで、外国では「円」を使う事ができません。
世界それぞれの国で使われているお金
世界ではどんなお金が使われているのでしょうか。
アメリカなら「ドル」、中国なら「元」と、その国の中だけで使うことができる、その国のお金があります。
日本のお金をいっぱい持ってアメリカに行っても、そのままではそのお金を使うことができません。
でも大丈夫。
アメリカか日本の銀行や空港で、日本のお金「円」をアメリカのお金「ドル」に交換してくれます。
このとき、100円玉ひとつを交換したら、アメリカの「ドル」でいくらになるのでしょうか?
100ドルでしょうか?
いいえ、今は1ドルがちょうど100円くらいなので、100円玉は1ドルに交換されることになります。(手数料は考えず)
「100が1になった!」なんて驚かないでください。
日本のマクドナルドで100円バーガーが食べられるように、アメリカのマクドナルドに行っても1ドルバーガーを食べることができます。
日本の100円とアメリカの1ドルは同じ価値があるんです。
でも…
もしかしたら、今日1ドルに交換するのに100円必要だったものが、明日には110円ないと交換できなくなるかもしれませんし、反対に90円で交換できるかもしれません。
ある時点で100円と1ドルが同じ価値だったとしても、それがずーーーっと一緒っていうわけではないんです。
といより、今この瞬間もちょっとづつ変わっていってるんです。
ニュースで「ただ今の円相場は1ドル100円19銭・・・、あっ、今変わって1ドル100円25銭~」と言っているのを見たことがあるかもしれませんが、これは今の時点で1ドルに交換するのに日本のお金がいくら必要なのかを教えてくれるもので、これを「為替(かわせ)レート」と呼びます。
この為替レートは色々な事情があって常にちょっとづつ上がったり下がったりしているんですが、何か世界的な大きな事件があると一気に変わってしまうこともあるんです。
為替レートの上下であなたの何がどう変わるのか、次で詳しく見ていきましょう。
ちなみに、為替レートは「1ドル○○円」という表現をします。(ドル円の場合)
これはアメリカのお金「ドル」が世界のお金の基準になっているためで、昔はイギリスのお金「ポンド」が世界のお金の基準でした。
「100円○○ドル」だったらもっと分かりやすかったでしょうにね…
増えているのに「安」、減っているのに「高」?
為替レートは変化します。
現在の為替レートが「1ドル100円」だったとしても、来月には「1ドル90円」になっているかもしれないし、「1ドル110円」になっているかもしれません。
この為替レートの変化を「円が高くなった=円高(えんだか)」、「円が安くなった=円安(えんやす)」と言います。
それでは「1ドル100円」が「90円」になった場合「110円」になった場合、どちらの変化を円高、円安と呼ぶのでしょうか。
正解は、
「1ドル100円」から「1ドル90円」への変化を「円高になった」、
「1ドル100円」から「1ドル110円」への変化を「円安になった」と言います。
100円から90円になっちゃったんだから、安くなっているように見えちゃいます?
それでは、あなたがアメリカにいくときに、100ドルが必要だとして円からドルに両替をしなければいけない時のことを考えてみましょう。
「1ドル100円」の場合なら、
「1ドル×100=100ドル」なので、同じように100円の方も「100円×100」としてあげると、100ドルに交換するのに10,000円が必要だと分かります。
では、「1ドル90円」の場合なら…
「90円×100」で答えは9,000円ですね。
同じように「1ドル110円」の時なら、100ドルに交換するのに必要なのは11,000円になります。
同じ100ドルなのに、今10,000円で交換できたものが、一ヶ月後には9,000円で交換できるかもしれないし、11,000円出さなければいけないかもしれません。
どっちがお得?
もちろん、9,000円で交換できた方がいいですよね。
10,000円よりも少ない金額で交換できるということは、それだけ円の価値が上がった、つまり円が高くなった=円高となるわけです。
逆に、もっと多く出さないと交換できないということは、それだけ円の価値が下がった、つまり円が安くなった=円安となるのです。
アメリカの「ドル」と日本の「円」だけでなく、2つの国があれば、お互いの国で使っているお金がいくらで交換できるのかということが、この為替レートによって決められています。
どちらかの国のお金の価値が上がると、その分だけもうひとつの国のお金の価値が下がり、それは天秤のような関係になっています。
お金の価値が上がったり下がったりってちょっとイメージしづらいですけど、
もしあなたの持っているオモチャが、とてもとてもたくさんの人たちから「それかわいい!ほしい!ちょーだい!」って言われたら、何だかとすごく価値があるように思えません?
逆にみんなから「なにそれ?いらな~い」と言われたら…
あなたが大切にしているものの価値に人の評価なんて関係ないですけど、
お金に関しては、色んな人が欲しがれば欲しがるほど価値がどんどん上がり、見向きもされなかったり嫌われたりしてしまうと、どんどん価値が下がっていきます。
世界では色んな国の色んな人が、互いに結びついて色んな活動をしています。
その中でどこかのある国に興味を持ったり期待をしたり、反対にどこかの国を嫌だなと思ったり不安に感じたりするなど、世界中の人々の色んな思いがお金の価値を上げたり下げたりしているのです。
円高になるとどうなるの?
円の価値が上がったり下がったりすると、何にどう影響するのでしょうか。
まずは円高から、あなたの身近な生活で考えてみましょう。
円高になる(円の価値が上がる)と、外国の商品を安く買うことができます。
アメリカでリンゴが1ドルで売られていたとしましょう。
1ドル100円の時、リンゴをひとつ買うのには100円が必要です。
1ヶ月後に円高で1ドル90円になった場合、100円必要だったリンゴが90円で買えることになります。
私たちの周りには、外国から商品を買って私たちに売ってくれる会社がたくさんあります。
円高になれば、そういった会社は外国から安く商品を買うことができ、その分だけ私たちにも安く売ってくれます。
日本は外国からたくさんの商品を買っている国なので、ちょっと難しい話ですけど、円高になると私たちの身の回りの商品が安くなる、国内の物価が引き下げられる効果が期待できます。
また、仕事や旅行で外国に出掛ける人、日本のお金「円」を外国のお金に交換する人にとっては、円高になった方がたくさんの外国のお金に交換することができます。
円高っていいことばかりに思えますが、
逆に、外国のお金から日本のお金「円」に戻さないといけない人にはありがたくない話になります。
例えば、
一ヶ月前に「1ドル100円」だったのが、アメリカに行く直前になって円高で「1ドル90円」になりました。
100ドル交換するのに10,000円必要だと思ってたのに、9,000円で済んじゃった、ラッキー。
ところが、日本に戻る頃にさらに円高が進んで「1ドル80円」に。
すると、使わずにいた100ドルを日本円に交換すると、戻ってきたのは8,000円。
何も使わずに、円→ドル→円と行き来させただけなのに、その間に円高が進んだせいで1,000円損したことになるのです。
これは旅行や仕事で外国に行く人の話だけではなくて、大きな会社にとってもすごく影響のある事なんです。
日本はたくさんの商品を外国から買っている国ですが、たくさんの商品を外国へ売っている国でもあるんです。
外国に車を売っている会社の場合、外国で車を売るので入ってくるお金も当然外国のお金です。
1台2万ドルの車が売れると、受け取ったお金はどこかのタイミングで日本のお金「円」に交換しなければなりません。(外貨建ての場合)
その時の為替レートが「1ドル100円」なら、日本円で受け取るのは「2万×100円」で200万円になります。
これがもし円高で「1ドル90円」になってしまうと、「2万×90円」で180万円となり、「1ドル100円」のときよりも20万円も受け取るお金が少なくなってしまいます。
日本は長いこと外国にモノを売る会社(輸出企業)の頑張りで経済を成長させてきた国なので、こういった会社が損をする円高というのはとかく大きなニュースとなります。
円高になると、一般的に外国からモノを買う輸入が増え、反対に外国にモノを売る輸出が減ると言われています。
日本という国をひとつの家庭に置き換えて考えてみると、
食べ物や着る服を買ったりする「家から出ていくお金」ばかりが増えて、パパのお給料とか「家に入ってくるお金」が減ってきたら、お家のお金はすぐになくなってしまいますよね。
ちょっと生々しくて嫌な気分になりました、スミマセン。
国も「出ていくお金」が増えて「入ってくるお金」が減ってしまう(貿易収支が減少する)と、お家と一緒でやり繰りが大変になってしまうんです。
またちょっと難しい話ですが、円高の「物価を引き下がる効果」も良いことばかりではなく、物価が持続的に下落していく「デフレ」への影響もあります。
「デフレ」は景気を悪化させる悪者として知られ、円高が進んでいくと国の政策として「円安への転換」とともに「デフレ脱却」が目標に掲げられたりするのですが、ここら辺はまた今度詳しく説明したいと思います。
円安になるとどうなるの?
基本的に円安は円高と反対の事が起こります。
外国からモノを買っていた会社にとっては、今までよりもたくさん払わなければ同じモノが買えなくなりますし、それは私たちの身の回りの商品の価格が上がることにもつながります。
円安が行き過ぎると、私たち個人の家庭を直撃し、さらには原材料の高騰などで中小企業の業績も圧迫してしまいます。
(難しい言葉はまた今度直しますね…)
反対に、外国にモノを売る会社にとっては利益が増大することになります。
1980年代前半までは円安ドル高の状況が続いたので、日本は輸出業を中心に大きな経済成長を遂げました。
しかし、現代になると事情は少し変わり、円安が必ずしも輸出増大にはつながってはいないようです。
これは輸出企業の多くが製造拠点を海外に移転しているため、または世界中の景気が良くないので日本の商品が売れないためとも言われています。
「輸出立国」と言われていた日本にとって「円安にある状況」が望ましいとされていましたが、物価の上昇によって「出ていくお金」が増えているのに、増えると思っていた「入ってくるお金」が増えないという厳しい面が目立っているようです。
これからどうなるんでしょうね。
希望のない話で締めくくってしまいましたが、書ききれないこともたくさんありましたので、また後日少しづづでもアップしたいと思います。
めちゃくちゃべんきょうになった
恐縮です…
結局、子供たちにも理解してもらえなくて、やっぱり難しいなと痛感してました。
自学ノートの参考になりました!
ありがとうございます♪
仕組みが少し難しかったけど、
このサイトのおかげで理解することができました!